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立憲民主党代表選(2021) 科学技術政策アンケート結果

立憲民主党代表選にあたり、各党に科学技術政策アンケートを送付させていただきました。ご回答いただけた順に公開してまいります。

 

なお、一般の方がどなたでも回答できるフォームもご用意致しておりますので、ぜひご回答の上、各党の結果と比較してみてください(こちらの結果は全党からのお返事がいただけた段階か、投票日前日かいずれかの早い方で公開させていただく予定です)。

https://forms.gle/LjXb4yX4scp1DiLRA

 

 11/28 一般回答も公開させていただきます。今回は7人の方から回答をいただきました。十分な数とは言い難いかも知れませんので、あくまで参考意見ということでお願いいたします。

 

以下の各候補からお答えをいただきましたので掲載させていただいております(回答順)。

 西村ちなみ衆議院議員

 泉健太衆議院議員

 小川淳也衆議院議員

 逢坂誠二衆議院議員

 

 

 

 

問1

政府の研究・開発への投資についてお伺いします。GDP 比で見た政府支出の研究開発費を今後どうすべきとお考えでしょうか?

  西村 泉  小川 逢坂 一般
1.  大幅に増やす 100%
2.やや増やす          
3. 現状維持          
4. やや減らす          
 5. 大幅に減らす          

問2

慢性的な財政難から科学研究も無縁ではなく、研究を成果の上がりそうなものに集中することで効率良い研究開発を行うことを求める声があります。一方で、科学研究というのは何が成功するか事前に予測することは極めて困難であり、一見役に立たなそうな研究も大事にするため「広く浅く」研究費を配分することが重要であるという考え方もあります。どちらの考え方を支持されるかお聞かせください。

  西村 泉  小川 逢坂 一般
 1. 現在より「選択と集中」を強化して成果の上がる大学を目指す

 

         
2.現状を維持する          
3.広く浅く研究費を配分する方向に政策転換する   100%

小川: どちらとも言えない。

 限られた財源の中で、研究開発費の増額を目指します。その上で、基礎研究についてはその重要性に十分考慮し、応用研究については成果への期待も踏まえて、配分を考えます。

 

逢坂:  選択と集中も必要なことであり、そちらは主に民間等資金で行うべき。

 公的資金は広い分野に使えるようにすべき。

 

問3

国立大学の予算として、各大学が自己裁量で使える運営費交付金はこの 20 年、削減されてきました。しかし、これでは大学の運営が難しいとして交付金を増額する動きがあります。ただし、これらの予算の多くは、従来の大学規模などに応じて自動配分されるものではなく、目標や改革の度合いなどを指標にして、「評価される大学」に傾斜配分するものとなっています。これらの政策についてのお考えをお聞かせください。

  西村 泉  小川 逢坂 一般
 1. 「評価に基づく傾斜配分」枠の交付金を増やしていく          
2. 現状維持ないし交付金削減を続ける          
3. 「従来型」の交付金の額を戻すないし増額する   100%

小川:どちらともいえない。

 各大学の運営に最低限必要な運営費を精査して配慮したうえで、業績の評価に基づく仕組みにより、効率化を促します。また、寄付等により民間の資金を活用できる枠組みをより使い勝手の良いものとします。

問4

各省庁が独自の目的を持って大学と共同研究を行ったり、研究助成を行ったりすることがありますが、近年特に防衛省の「安全保障技術研究推進制度」や、軍民共用技術(デュアル・ユース)について大学研究者が防衛省から資金を得て研究することに関しては、様々な議論が行われております。

セル1 西村 泉  小川 逢坂 一般
 1. 政府はこれらの研究を拡充すべきだが、実施については個々の研究者が判断すべき         29%
2. 政府はこれらの研究を拡充すべきだが、実施については研究機関や学会がガイドラインを策定すべき     29%
3. 政府はこれらの研究を縮小すべきだが、実施については個々の研究者が判断すべき          
4. 政府はこれらの研究を縮小すべきだが、実施については研究機関や学会がガイドラインを策定すべき       43%

小川:どちらともいえない。

 政府が大学等の知見を活かして研究を行うことは有意義と考えるが、行うに当たっての考え方・規範の整理が十分でない現状では、まず丁寧に議論を行うべきと考えます。

問5

アカデミックな研究者のキャリアは、かつて多くの大学では一度教員職として就職してしまうとほとんど解雇されないため、研究活動が停滞し、さらに人事も権威主義的で閉塞したものになるという批判がありました。現在ではキャリア初期の雇用は「ポスドク」(任期付きで数年を限度とする雇用契約であり、広義には任期付助教・講師も含まれる)になることが一般的になりました。例えば、日本最大の研究機関である理化学研究所の所員の7割は、任期付きだと言われています。しかし、1980年代に6千人台だった博士号取得者数は2010年台には1万6千人に達するなど倍以上に増加した一方で、終身雇用の枠は大きく増加することはなく、また日本社会固有の問題として30歳を超えると他のキャリアに転身することも難しいため、研究者のキャリアパスは極めて厳しいものになっています。このことが、優秀な若手が研究者になることを躊躇う理由にもなっていると考えられています。この点について、今後どのような方向性が最も好ましいとお考えか、お聞かせください。

  西村 泉  小川 逢坂 一般
 1. これまで通り流動性と競争性を高めるためポスドクや任期付き教員の雇用を維持もしくは拡大すると共に、企業での博士雇用を促進するなど、雇用の流動化を高める。         86%
2. 方針を転換ないし緩和し、安定した研究環境を整えるため無期雇用の比率を高める。   14%

小川:どちらともいえない。

 流動化か安定雇用かの二者択一ではなく、若手研究者がいたづらに将来に不安を感じることがないように環境を整備しつつ、研究者がその能力・意欲にふさわしいポストを得られやすい状況を目指すことが必要と考えます。

問6

また、任期性が強力に推し進められた2000年前後に大学院を卒業した世代を中心に、民間就職がいわゆる就職氷河期であったこともあり、ポスドク任期終了後の職が見つけられなかったり、低賃金の非常勤講師などを掛け持ちして暮らしている、所謂「高学歴ワーキング・プア」が大量に発生していると指摘されています。これらの人々について、対策をお考えであるかお聞かせください。

  西村 泉  小川 逢坂 一般
 1.高学歴層に特化したの活用ないし支援手段を別途考えている  ○   86%
2.特別な措置は考えていない(通常の氷河期世代に対する就職支援などで対応する)         14%

設問6-2

先の設問で1.を選択した場合は、具体策を以下にお書きください。

 

 

西村: ポスドクを含む研究者や大学院生の処遇改善を推進する。大学などの理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進し、またテニュアトラック制の普及などにより若手研究者を支援していく。また、研究者が研究に専念できる環境を整備するため、補助員の配置などに対する支援を検討する。

 

泉: ポスドクを含む研究者や大学院生の処遇改善を進めます。大学などの理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進し、またテニュアトラック制(任期付き研究者が審査を経て専任となる制度)の普及などにより優秀な若手研究者を支援します。また、研究者が研究に専念できる環境を整備するため、補助員の配置などに対する支援を検討します。

 

小川:どちらともいえない。

 高学歴に特化したとは言えないと考えるが、現在の氷河期世代の就職支援は不十分であり、研究者がその能力・意欲にふさわしポストを得られやすい状況を目指すことが必要と考えます。 

 

逢坂:1)ポスドクを含む研究者や大学院生の処遇改善の推進

 2)大学などの理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進

 3)テニュアトラック制(任期付き研究者が審査を経て専任となる制度)の普及などによる若手研究者への支援

 4)研究者が研究に専念できる環境を整備するため、補助員の配置などに対する支援


問7

我が国で、研究不正が続発していることは、国際的にも問題視されつつあります。通常、研究不正は教授が下位の教員に、教員が学生に、協力を強要するハラスメントを伴うものであり、大学内の権威主義やハラスメント対応部局の実効性にも問題があると思われます。こういった状況を改善するために、どのような方策が好ましいとお考えでしょうか?

  西村 泉  小川 逢坂 一般
 1.これまで通り各大学に任せる          
2.米研究公正局(ORI)のような政府機関、外部機関を設立し、国ぐるみで問題に取り組む   86%
3.その他       14%

問7-2

小川:各大学の自治・独立派十分尊重すべきだが、大学内のハラスメントへの対応は不適切な治安も見られることから、実効性のあるガイドラインの策定等も必要と考えます。


問8

現在、大学教員も多忙であり、研究時間が十分に確保できていないという報道がありました。また、授業の多くが非常勤講師に担われているという事情もあります。この点を踏まえて、大学教職員数について、最も重要だと思う対策を一つお選びください。

  西村 泉  小川 逢坂 一般
 1.常勤教員の定員を復旧・拡充する  ○ 71%
2.競争的資金により、特任教員を雇えるように措置する        
3.リサーチ・アドミニストレーター(URA)や知財・コミュニケーションの専門家など高度人材を研究支援職に充てられるよう措置する       29%
4.合理化やICT, AIの利用などにより、現状維持、ないし人員削減を目指す        

小川:必要最低限の常勤教員が確保できなくなっている場合は手当てしつつ、競争的資金による特任教員の雇用、高度人材の確保やICT・AIの活用などによる合理化も進めるべきと考えます。


問9

2020 年、日本学術会議が推薦した候補者105 名のうち、6人の任命を政府が拒否したことが議論になりましたが、この議論は日本学術会議の位置付けの問題を巡る議論にも発展しています。

  西村 泉  小川 逢坂 一般
1. 日本学術会議は行政府の一部局として、人事権も含めて総理大臣が権限を行使することは自然である。          14%
2. 日本学術会議は政治から独立した学術的な知見を行政に対して助言するための機関であり、人事権などを含めて可能な限り総理大臣及び内閣から独立していた方がいい 86%
3. 学問は行政から独立していることが好ましいが、そのためには予算的に政府から独立し、特別な勧告や資料要求などもできない民間の非営利組織になった方が良い。          

問10

千人計画など、日本の科学者の中国への流出が議論になっています。

  西村 泉  小川 逢坂 一般
 1. 科学者が複数の国でキャリアを積むのは一般的なことであり、問題ではない。  ○     43%
2. 科学者が外国でキャリアを積むこと自体は問題ないが、中国は日本にとって敵性国家であり、また学問の自由が認められていないという観点から特別に手立てを考えるべきである。          
3. 中国に限らず全ての人材流出は問題であり、これを防止する手立てを考えるべきである。   57%

西村: ※回答は1および3です。

問10-2

先の質問で 2 ないし 3 と回答された方は、具体的な方策があればお答えください。

 

西村: 科学者が複数の国でキャリアを積むことは望ましいことであるが、人材流出問題は日本の研究環境が規模・予算ともに貧弱であることに起因することが多い。わが国における十分な研究費、研究に専念できる雇用環境の整備こそ求められる。なお、安全保障に関わる機微な情報等の流出については厳格に管理すべきである。

 

泉:  わが国の研究基盤の拡充と予算の確保に取り組みます。政府の研究開発予算を増やし、国の研究開発のあり方を質量ともに変革します。

 

小川: どちらでもない。

 科学者が研究を行う国を選択する権利を制限するべきではありませんが、日本での研究を選択する研究者が一人でも多くなるよう、環境整備を進めます。

 

逢坂: 科学者が複数の国でキャリアを積むことを、一般論として妨げるものではないし、それが望ましい。これが原則。

 しかし日本の研究環境は予算面やジェンダー平等の観点から課題が多くこれが人材流出要因の一つ。これらを解消することが必要。安全保障に関わる情報等の流出については厳格な管理が必須。