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2021年自由民主党総裁選 政策アンケート 結果

 昨年同様、2021年自由民主党総裁選の候補者の皆様に政策アンケートを実施しました。到着分から順次結果を公表させていただきます。ご協力いただきました候補者の方々、ありがとうございました。

 

 なお、一般の皆様も以下のURLから同じ質問にお答えいただけます。こちらも締め切り以降に(ないし全候補者からの意見を頂けた段階で)集計し、公表させていただきますので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 

 https://forms.gle/nbXAnv19ipqn5uXB8

 

【追記】

 自由回答フォームに85名の方々からの回答をお寄せいただきました。この後も総裁選完了までは引き続きご投票いただけますが、ここで一度集計結果を公表させていただきます。年齢などの大まかな属性などは、改めて別の形でレポートさせていただければと思います。候補者欄の右の「一般」のところが、85名の方の回答の分布(%)となっております。

 

【追記2】

  最終的に89名の方にご回答いただきました。一般の方の解答欄をそれを集計したものに差し替えています。

 

 


問1)

政府による研究・開発への投資についてお伺いします。GDP 比で見た政府支出の研究開発費を今後どうすべきとお考えでしょうか?

  高市 一般
1.  大幅に増やす  ○ 76.4
2. やや増やす   18
3. 現状維持   4.5
4. やや減らす    
5. 大幅に減らす   1.1

問2)

慢性的な財政難から科学研究も無縁ではなく、研究を成果の上がりそうなものに集中することで効率良い研究開発を行うことを求める声があります。一方で、科学研究というのは何が成功するか事前に予測することは極めて困難であり、一見役に立たなそうな研究も大事にするため「広く浅く」研究費を配分することが重要であるという考え方もあります。どちらの考え方を支持されるかお聞かせください。

  高市 一般
 1.現在より「集中と選択」を強化して成果の上がる大学を目指す   ○ 4.5
2.現状を維持する   5.6
3.広く浅く研究費を配分する方向に政策転換する   89.9

【追記】

高市早苗氏幅広い分野で研究基盤の維持を図った上で集中投資も行います」

 (公開後、注記のご希望をいただきましたので追記させていただきます)


問3)

国立大学の予算として、各大学が自己裁量で使える運営費交付金はこの20 年、削減されてきました。しかし、これでは大学の運営が難しいとして交付金を増額する動きがあります。ただし、これらの予算の多くは、従来の大学規模などに応じて自動配分されるものではなく、目標や改革の度合いなどを指標にして、「評価される大学」に傾斜配分するものとなっています。これらの政策についてのお考えをお聞かせください。

  高市 一般
 1. 「評価に基づく傾斜配分」枠の交付金を増やしていく  ○ 0
2. 現状維持ないし交付金削減を続ける   9
3. 「従来型」の交付金の額を戻すないし増額する   91

問4)

各省庁が独自の目的を持って大学と共同研究を行ったり、研究助成を行ったりすることがありますが、近年特に防衛省の「安全保障技術研究推進制度」や、軍民共用技術(デュアル・ユース)について大学研究者が防衛省から資金を得て研究することに関しては、様々な議論が行われております。

  高市 一般
 1. 政府はこれらの研究を拡充すべきだが、実施については個々の研究者が判断すべき ○  43.8
2. 政府はこれらの研究を拡充すべきだが、実施については研究機関や学会がガイドラインを策定すべき   25.8
3. 政府はこれらの研究を縮小すべきだが、実施については個々の研究者が判断すべき   9
4. 政府はこれらの研究を縮小すべきだが、実施については研究機関や学会がガイドラインを策定すべき   21.3

問5)

アカデミックな研究者のキャリアは、かつて多くの大学では一度教員職として就職してしまうとほとんど解雇されないため、研究活動が停滞し、さらに人事も権威主義的で閉塞したものになるという批判がありました。現在ではキャリア初期の雇用は「ポスドク」(任期付きで数年を限度とする雇用契約であり、広義には任期付助教・講師も含まれる)になることが一般的になりました。例えば、日本最大の研究機関である理化学研究所の所員の7割は、任期付きだと言われています。しかし、1980年代に6千人台だった博士号取得者数は2010年台には1万6千人に達するなど倍以上に増加した一方で、終身雇用の枠は大きく増加することはなく、また日本社会固有の問題として30歳を超えると他のキャリアに転身することも難しいため、研究者のキャリアパスは極めて厳しいものになっています。このことが、優秀な若手が研究者になることを躊躇う理由にもなっていると考えられています。この点について、今後どのような方向性が最も好ましいとお考えか、お聞かせください。

  高市 一般
 1. これまで通り流動性と競争性を高めるためポスドクや任期付き教員の雇用を維持もしくは拡大すると共に、企業での博士雇用を促進するなど、雇用の流動化を高める。 ○  31.5
2. 方針を転換ないし緩和し、安定した研究環境を整えるため無期雇用の比率を高める。   68.5

問6)

また、任期性が強力に推し進められた2000年前後に大学院を卒業した世代を中心に、民間就職がいわゆる就職氷河期であったこともあり、ポスドク任期終了後の職が見つけられなかったり、低賃金の非常勤講師などを掛け持ちして暮らしている、所謂「高学歴ワーキング・プア」が大量に発生していると指摘されています。これらの人々について、対策をお考えであるかお聞かせください。

  高市 一般
 1.高学歴層に特化したの活用ないし支援手段を別途考えている  ○ 46.1
2.特別な措置は考えていない(通常の氷河期世代に対する就職支援などで対応する)   53.9

問6-2)先の設問で1.を選択した場合は、具体策を以下にお書きください。

 

高市早苗氏大学内で、又は大学発スタートアップで最先端のプロジェクトづくりを担う研究者ポストを用意したり、特に民間企業で求められる理工系人材のマッチングを強化します。

 

 

 

 

 

 

一般の方々の回答
  • また,博士人材のキャリアパスをより柔軟にするために,アカデミアと上記のキャリアを流動的に行き来できるように,政府が支援をしていくべきであると考える.
  • 教員免許を持たなくとも、博士号を取得している方は教員になれるようにしている自治体が存在するが、それを拡充し、全国の高校どこでも採用可能とする。メディアでの博士人材の登用を拡充する。メディアの科学リテラシーの低さを改善する効果も見込める。
  • 学位などを基準として、関連職における採用に補助金を出すような雇用促進策を実施する
  • シンクタンクを設立し、そこの戦力または支援者として活用
  • 省庁での学位取得者の雇用
  • 国の委託で政策研究や、調査といった頭脳労働に従事してもらうことなど
  • アカデミックに限らないキャリアパスを支援する
  • 官庁、マスメディア等で専門知識を生かす人材として雇用
  • 例えば、問7にある研究不正防止に関わる外部機関などのアカデミアに関わる公的機関で積極的に博士号取得者の雇用を行う。
  • 大学の教員ポストを増やす

 

 


問7)

我が国で、研究不正が続発していることは、国際的にも問題視されつつあります。通常、研究不正は教授が下位の教員に、教員が学生に、協力を強要するハラスメントを伴うものであり、大学内の権威主義やハラスメント対応部局の実効性にも問題があると思われます。こういった状況を改善するために、どのような方策が好ましいとお考えでしょうか?

  高市 一般
 1.これまで通り各大学に任せる   21.3
2.米研究公正局(ORI)のような政府機関、外部機関を設立し、国ぐるみで問題に取り組む   70.8
3. その他 7.9

問7-2)先の設問で3.を選択した場合は、具体策を以下にお書きください。

 

高市早苗氏:研究者や学会等の研究者コミュニティ、大学等の研究機関、研究資金配分機関、及び関係府省が、それぞれの立場や状況に応じて研究不正防止に個別に取組むとともに、各種の課題を共有し、連携を図ることが必要と考えます。

 

 

 

 

 

一般の方々の回答
  • 研究不正の多くは研究者の焦燥感から来るものであると感じている。まずは安心して研究に取り組める土壌を整備してから論ずべきことかと思う。
  • 研究コミュニティ内の自浄作用(再現実験の実施と結果のシェア、学会内や雑誌、プレプリントサーバー内における検証活動)、もしくは研究関係者によるNPO団体等の活動により不正防止につなげる。国の機関で一から検証を行うには時間がかかる・確実に黒と言えるものへの調査しか着手できなくなる未来が見えるので研究者コミュニティ内でしっかりと対応すべき。
  • これらの問題が起こる原因として、成果主義、あるいは成果に対する妥当ではない評価があげられる。
  • 研究不正については、些細であっても退職扱いとする。善良な研究者がポジションを得られず、不正を行った研究者が(処分が減給等に留まる場合)ポジションを維持できるような現状の仕組みは、不適切である。
  • 法律により各大学がおこなう調査・処分の公正性を確保・強化する。
  • 大学の教員ポストを増やす

 

 


問8)

現在、大学教員も多忙であり、研究時間が十分に確保できていないという報道がありました。また、授業の多くが非常勤講師に担われているという事情もあります。この点を踏まえて、大学教職員数について、最も重要だと思う対策を一つお選びください。

  高市 一般
 1.常勤教員の定員を復旧・拡充する   57.3
2.競争的資金により、特任教員を雇えるように措置する 2.1
3.リサーチ・アドミニストレーター(URA)や知財・コミュニケーションの専門家など高度人材を研究支援職に充てられるよう措置する   38.2
4.合理化やICT, AIの利用などにより、現状維持、ないし人員削減を目指す   2.2

問9)

2020 年、日本学術会議が推薦した候補者105 名のうち、6人の任命を政府が拒否したことが議論になりましたが、この議論は日本学術会議の位置付けの問題を巡る議論にも発展しています。

  高市 一般
 1. 日本学術会議は行政府の一部局として、人事権も含めて総理大臣が権限を行使することは自然である。  ○ 13.5
2. 日本学術会議は政治から独立した学術的な知見を行政に対して助言するための機関であり、人事権などを含めて可能な限り総理大臣及び内閣から独立していた方がいい。   70.8
3. 学問は行政から独立していることが好ましいが、そのためには予算的に政府から独立し、特別な勧告や資料要求などもできない民間の非営利組織になった方が良い。   15.7

問10)

千人計画など、日本の科学者の中国への流出が議論になっています。

  高市 一般
 1. 科学者が複数の国でキャリアを積むのは一般的なことであり、問題ではない。   59.6
2. 科学者が外国でキャリアを積むこと自体は問題ないが、中国は日本にとって敵性国家であり、また学問の自由が認められていないという観点から特別に手立てを考えるべきである。   11.2
3. 中国に限らず全ての人材流出は問題であり、これを防止する手立てを考えるべきである。 29.2

問10-2)先の質問で2 ないし3 と回答された方は、具体的な方策があればお答えください。

 

高市早苗氏中国は、「技術獲得」の為に様々な手法を駆使しています。現在の不正競争防止法では、日本の学術機関の研究成果が外国政府や軍に利用されることを防ぎ切れません。

先端技術などの海外流出を阻止するために経済安全保障包括法の整備が必要です。研究者や社員に対する「秘密保全義務」と「罰則」を設けます。更に、「引き抜き防止策」として、先端技術・機微技術・戦略物資の研究開発や製造に関わる日本人研究者・技術者やOBの処遇改善と活躍の場の確保を推進する施策にも取り組みます。

 

 

 

 

 

一般の方々の回答
  • 研究者の待遇改善
  • 給料の増加、魅力的な研究環境の改善。評価方法の見直し。研究の独立性の担保(無能な教授を論文著者に入れることを強要されているので、そういうハラスメント的なギフトオーサーの廃止・罰則を行う)。
  • 海外に流出するレベルの能力の高い人材が日本でポストを得られない。一方でそれよりレベルの低い人材が日本でポストを得ることができるという構造が問題だと思う。
  • 千人計画で中国が行なっている誘致策と同様の事を日本でもすれば良い。その上で日本人研究者の待遇も同水準かそれ以上に改善する
  • 問6-2と同様
  • 日本国内の研究者の待遇を改善するとともに、日本版千人計画のような政策により日本に優秀な研究者を招聘するための取組を行う。
  • 日本の研究環境を改善する。
  • 敵性国家でのアカデミック期間所属日数に期限を与え、それを超えると国公立大学及び公的研究機関への復帰は不可とする。
  • 国内で研究しやすい環境を整える
  • 研究者がより良い待遇の得られる国に流れることは自然なので、日本国内の研究環境改善に尽きると思う
  • 1に回答したが、その原因として日本の研究に対する援助姿勢が問題と考える
  • 科研費および大学運営費の増額、大学院大学設置などによる教授職ポストの増員。
  • 日本人研究者の中国に限らない海外への流出はそもそも日本政府(自公政権)による現役世代への支援の手薄さ、具体的には教育・科学への不十分な投資の結果であり、この方針を転換しなければ、国の競争力が削がれていく現状は変わらないだろう。
  • 科学者が複数の国でキャリアを積む(ポスドク・任期付き雇用等)のは一般的なことだが、帰国を希望しているものの日本では就職先が存在しない・待遇や資金面が劣るため他国に見劣りする等の原因で人材流出していることは問題。基礎研究の支援と無期雇用の拡充が必須と思う。
  • 歴史的に見ても、科学研究と自由民主主義は切り離すことができない。国家レベルで顕著な人権侵害が行われている国で働くことを希望する上級の研究者には、「日本のような自由民主主義を標榜する国において培われた自身の科学研究を、人権侵害が懸念される国で行うこと」についてのエッセイを提出して頂き、文部科学省の外郭機関(JSTやJSPSなど)によって公開することにしたらよい。
  • 流出の理由が1.に挙げられるような自由な頭脳循環ではなく、優秀な人材であっても国内に職を得られないというネガティブな理由のため一方的な流出という側面が強くなっているのが問題である。これは中国への流出に限らず、国内の安定雇用を拡充するとともに、海外で経験を積んだ研究者を国内に環流させるための中堅向けポジションを用意するなどの方策が実施されることが望ましい
  • 友好国との交流を優遇することで、間接的に敵対国への流出を抑える。国外との交流自体は、推進すべき
  • 待遇を改善する。
  • 海外でキャリアを積むのは一般的だが昨今の事情を鑑みてヨーロッパやアメリカ、韓国といった価値観を共有した国でキャリアをつめるように各国政府や大学に働きかけを行うなど
  • 国内の無期雇用のポストを大幅に増やし、相対的な魅力をあげる
  • 国家や行政が、特定国での研究を批判的に捉えるならば、その対象国を明示するべき。渡航し研究場所にしてはいけない国を定めることなく、政治家や報道機関が渡航した個人研究者を批判するかのような行為は、非違行為に該当するのではないだろうか?
  • 給与充実、機密事項の流出厳罰化
  • 国内の研究環境の改善