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2020年党首選 政策アンケート 結果

自由民主党総裁選、および立憲民主党と国民民主党が合流してできる新党の代表選挙について、各候補者に政策アンケートへの回答をお願いしました。設問は、昨年の参議院議員選挙政策アンケートと基本的に同様ですが、新型コロナウイルス感染症関連の質問を最後に二つつけています。基本的に、回答が寄せられた順に掲載していきます。

 

質問状をお送りしたのは以下の皆様(敬称略)です。

 自由民主党:石破茂、菅義偉、岸田文雄

 合流新党:泉健太、枝野幸男

問1)

 政府の研究・開発への投資についてお伺いします。日本の研究開発費はGDP 比3.5%程度であり、これは先進国最高水準です。しかし、その8 割を民間企業の支出が占めており、政府支出が小さいのが特徴です。GDP 比で見た公的な研究開発費を今後どうすべきとお考えでしょうか?

  枝野
1.大幅に増やす  
2. やや増やす  
3.現状維持  
4.やや減らす  
5.大幅に減らす  

問2)

 研究は、基礎研究と応用・開発研究に分けられます。基礎研究の厳密な定義は必ずしも共有されていませんが、日本の政府予算のうち、科学技術研究費(科研費)が主に科学者・研究者の関心に基づいて行われる「基礎研究」に使われる予算である、という考え方があります。 

  枝野
 1.公的な研究開発費に占める科研費の割合を増加させる  ○
2.現状維持  
3.公的な研究開発費に占める科研費の割合を低下させる  

問3)

国立大学の運営費交付金について、「評価に基づく傾斜配分」枠が設定、増額されており、議論を呼んでいます。この予算についてどのような方向性が好ましいとお考えか伺います。

  枝野
 1.「評価に基づく傾斜配分」枠を拡充して増額する  
2.  従来型の交付金を拡充して増額する
3. 現状維持  
4. 国から国立大学への交付金全体を削減し、民間資金などの活用を促進する  

問4)

 各省庁が独自の目的を持って大学と共同研究を行ったり、研究助成を行ったりすることがありますが、近年特に防衛省の「安全保障技術研究推進制度」や、軍民共用技術(デュアル・ユース)について大学研究者が防衛省から資金を得て研究することに関しては、様々な議論が行われております。

 

枝野

 1. そういった研究を受けるかはあくまで個々の研究者が判断すべきである。政府としてはこれらの研究を拡充するべきである  
2.そういった研究を受けるか、大学や学会がガイドラインを策定すべきである。政府としてはこれらの研究を拡充するべきである。  
3.そういった研究を受けるかはあくまで個々の研究者が判断すべきである。政府としてはこういった研究はなるべく行わない。  
4.そういった研究を受けるか、大学や学会がガイドラインを策定すべきである。政府としてはこういった研究はなるべく行わない。

問5)

 国立大学は運営の多くを税金からの支出によっていますし、私立大学においてもその研究活動は政府の科学技術研究関連予算に大きく依存しています。この状況下において、以下のどちらの見解を指示されるか、お考えをお聞かせください。

 

枝野

 1.どちらかといえば、公費での研究は国益を重視して配分、実施されるべきである。  
2.どちらかといえば、公費での研究は人類全体の利益や知識の向上を重視して配分されるべきである。

問6)

 かつて、多くの大学で一度就職してしまうとほとんど解雇されないため、研究が停滞し、人事が権威主義的で閉塞したものになるという批判があり、現在はキャリア初期の雇用は任期付きのものになることが一般的になりました。しかし、終身雇用の枠は極めて小さく、また日本社会固有の問題として40歳を超えると他のキャリアに転身することも難しいため、研究者のキャリアパスは極めて厳しいものになっています。このことが、優秀な若手が研究者になることを躊躇う理由にもなっていると考えられています。この点について、今後どのような方向性が好ましいとお考えか、お聞かせください。

 

枝野

 1.これまで通り流動性と競争性を高めるため3~5年の短期雇用化を促進する。  
2.方針を転換ないし緩和し、安定した研究環境を整えるため無期雇用の比率を高める。

問7-1)

 また、任期性が強力に推し進められた2000年前後に大学院を卒業した世代を中心に、民間就職がいわゆる就職氷河期であったこともあり、ポスドク任期終了後の職が見つけられなかったり、低賃金の非常勤講師などを掛け持ちして暮らしている、所謂「高学歴ワーキング・プア」が大量に発生していると指摘されています。これらの人々について、対策をお考えであるかお聞かせください。

  枝野
1.高学歴層の活用ないし支援手段を別途考えている   ○
2.特別な措置は考えていない(通常の氷河期世代に対する就職支援などで対応する)  

問7-2)

先の設問で1.を選択した場合は、具体策を以下にお書きください。

 

【枝野】

 就労支援の際に、多様な専門を生かすことができるよう相談・生活・自立支援をさらに進めるとともに、雇用する側、特に中小企業に対する支援策を強化する。官公庁や公的機関、研究機関における高度人材の中途採用を積極的に進める。

問8)

 我が国で、研究不正が続発していることは、国際的にも問題視されつつあります。通常、研究不正は教授が下位の教員に、教員が学生に、協力を強要するハラスメントを伴うものであり、大学内の権威主義やハラスメント対応部局の実効性にも問題があると思われます。こういった状況を改善するために、どのような方策が好ましいとお考えでしょうか?

  枝野
 1.これまで通り各大学に任せる  
2.米研究公正局(ORI)のような政府機関、外部機関を設立する  
3.その他

問8-2)

 先の設問で3.を選択した場合は、具体策を以下にお書きください。

 

【枝野】

 学問の自由、大学の自治を侵害しない範囲で、コンプライアンスを強化し、ハラスメント防止等に取り組む。

 

問9)

 現在、大学教員も多忙であり、研究時間が十分に確保できていないという報道がありました。また、授業の多くが非常勤講師に担われているという事情もあります。この点を踏まえて、大学教職員数について、最も重要だと思う対策を一つお選びください。

  枝野
 1.常勤教員の定員を復旧・拡充する
2.競争的資金により、特任教員を雇えるように措置する  
3.リサーチ・アドミニストレーター(URA)や知財・コミュニケーションの専門家など高度人材を研究支援職に充てられるよう措置する  
4.合理化やICT, AIの利用などにより、現状維持、ないし人員削減を目指す  

問9)

現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの大学がリモート対応での教育研究体制をとっています。しかし、各大学のリモート体制および各学生のIT環境には差があり、必ずしも普遍的な教育環境を提供できているとはいえません。このような状況を鑑み、どのような対策を必要とするかについてお聞かせください。

  枝野
 1.各大学のリモート環境を拡充すべく、補助金を用意する  
2. 過度なリモート体制は必要ないため、対面教育に戻す  
3.各大学の方針に政府が口を出すべきではない

問11)

新型コロナウイルスの検査拡充は安倍政権の方針でもありましたが、諸外国では大学や公的研究機関もPCRをはじめとする検査拡充に協力しています。わが国においても大学の協力があれば大幅に検査体制を拡充できると考えられますが、このような方策についてどうお考えでしょうか。

  枝野
 1.大学や公的研究機関の検査能力を活用したい  ○
2.大学や公的研究機関以外によって検査を拡充する  
3.検査を拡充しない