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第25回参議院議員通常選挙 政策アンケート結果

以下、各党からおよせ頂いたアンケート結果をおしらせします。なお、なお、一般の方もこちらのアンケートフォームから同趣旨のアンケートにお答えいただけます。参考にさせていただきますので、ご協力お願いします。

 

問1)

 政府の研究・開発への投資についてお伺いします。日本の研究開発費はGDP 比3.5%程度であり、これは先進国最高水準です。しかし、その8 割を民間企業の支出が占めており、政府支出が小さいのが特徴です。GDP 比で見た公的な研究開発費を今後どうすべきとお考えでしょうか?

 

 

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党 れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1. 大幅に増やす  ○     50
2. やや増やす。               33.3
3. 現状維持                   11.1
4. やや減らす。                    
5. 大幅に減らす                   5.6

※立憲民主党からの回答については、政策との対応について詳細なコメントをつけていただいています。この表には載せきれませんので、いただいたFAXをそのまま掲載させていただきますので、詳細はそちらをご覧ください。

問2)

 研究は、基礎研究と応用・開発研究に分けられます。基礎研究の厳密な定義は必ずしも共有されていませんが、日本の政府予算のうち、科学技術研究費(科研費)が主に科学者・研究者の関心に基づいて行われる「基礎研究」に使われる予算である、という考え方があります。 

 

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党 れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1.公的な研究開発費に占める科研費の割合を増加させる ○        72.2
2.現状維持             22.2
3.公的な研究開発費に占める科研費の割合を低下させる                   5.6

問3)

国立大学の運営費交付金について、「評価に基づく傾斜配分」枠が設定、増額されており、議論を呼んでいます。この予算についてどのような方向性が好ましいとお考えか伺います。

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党 れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1. 「評価に基づく傾斜配分」枠を拡充して増額する     下記参照           11.1
2. 従来型の交付金を拡充して増額する  ○         77.8
3. 現状維持             11.1
4. 国から国立大学への交付金全体を削減し、民間資金などの活用を促進する                

その他の回答:

 

【国民民主党】

 国民民主党: 1 及び 2

問4)

 各省庁が独自の目的を持って大学と共同研究を行ったり、研究助成を行ったりすることがありますが、近年特に防衛省の「安全保障技術研究推進制度」や、軍民共用技術(デュアル・ユース)について大学研究者が防衛省から資金を得て研究することに関しては、様々な議論が行われております。

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党 れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1. そういった研究を受けるかはあくまで個々の研究者が判断すべきである。政府としてはこれらの研究を拡充するべきである                 19.4
2. そういった研究を受けるか、大学や学会がガイドラインを策定すべきである。政府としてはこれらの研究を拡充するべきである。                 33.3
3. そういった研究を受けるかはあくまで個々の研究者が判断すべきである。政府としてはこういった研究はなるべく行わない。               16.7
4. そういった研究を受けるか、大学や学会がガイドラインを策定すべきである。政府としてはこういった研究はなるべく行わない。 ○          30.6

問5)

 国立大学は運営の多くを税金からの支出によっていますし、私立大学においてもその研究活動は政府の科学技術研究関連予算に大きく依存しています。この状況下において、以下のどちらの見解を指示されるか、お考えをお聞かせください。

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党  れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1.  どちらかといえば、公費での研究は国益を重視して配分、実施されるべきである。                 19.4
2.どちらかといえば、公費での研究は人類全体の利益や知識の向上を重視して配分されるべきである。  ○ ○    80.6

問6)

 かつて、多くの大学で一度就職してしまうとほとんど解雇されないため、研究が停滞し、人事が権威主義的で閉塞したものになるという批判があり、現在はキャリア初期の雇用は任期付きのものになることが一般的になりました。しかし、終身雇用の枠は極めて小さく、また日本社会固有の問題として40歳を超えると他のキャリアに転身することも難しいため、研究者のキャリアパスは極めて厳しいものになっています。このことが、優秀な若手が研究者になることを躊躇う理由にもなっていると考えられています。この点について、今後どのような方向性が好ましいとお考えか、お聞かせください。

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党 れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1.  これまで通り流動性と競争性を高めるため3~5年の短期雇用化を促進する。     下記参照     下記参照   下記参照 16.7
2.方針を転換ないし緩和し、安定した研究環境を整えるため無期雇用の比率を高める。  ○   83.3

 


その他の回答:

 

【国民民主党】

  研究者の処遇改善を進めます。大学などの理系カリキュラム改善やインターンシップを産学官連携で推進し、またテニュアトラック制(任期付き研究者が審査を経て専任となる制度)の普及などにより優秀な若手研究者を支援します。また、研究者が研究に専念できる環境を整備するため、補助員の配置などに対する支援を検討します。

 

【自由民主党】

 自民党内で議論してきましたが、1と2はどちらも重要であり、どちらかを選ぶことはできません。

 

【日本維新の会】

 1を基本としながら、研究者の評価によっては、処遇に幅を持たせるシステムを目指す。

 

問7)

 また、任期性が強力に推し進められた2000年前後に大学院を卒業した世代を中心に、民間就職がいわゆる就職氷河期であったこともあり、ポスドク任期終了後の職が見つけられなかったり、低賃金の非常勤講師などを掛け持ちして暮らしている、所謂「高学歴ワーキング・プア」が大量に発生していると指摘されています。これらの人々について、対策をお考えであるかお聞かせください。

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党  れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1.  高学歴層の活用ないし支援手段を別途考えている  ○     50
2.特別な措置は考えていない(通常の氷河期世代に対する就職支援などで対応する)               50

 

問7-2)

先の設問で1.を選択した場合は、具体策を以下にお書きください。

 

【社会民主党】

 若手研究者の大学への積極採用や非正規の正規転換を進めるとともに、必要経費の税控除や育休支援など負担軽減を図る必要があります。

 

 

【日本共産党】

 無期転換権の発生を特例で10年に延長している有期雇用の研究者・職員が大量に雇止めとなる危険が4年後に迫っていることを踏まえて、国にさらなる調査を実施させます。

 

 有期雇用の大学教職員、研究者、非常勤講師に契約更新5年上限を予め求めることは法改正の趣旨に反する行為であり、やめさせます。有期契約が1回以上反復されて5年経過した雇用を無期契約に転換した場合に、国が大学に対して財政支援する奨励制度をつくります。

 

 大学の基盤的経費を増額して技術、事務、医療などの職員を増員するとともに、雇用は正規が基本となるよう促します。

 

 国立大学法人が「総人件費改革」で5年間に削減した人件費だけで、若手教員1万6千人以上の給与に相当します。国立大学や独法研究機関が削減した人件費分を回復するために、国から国立大学や独法研究機関への運営費交付金を大幅に増額し、若手教員・研究者の採用を大きくひろげます。

 

 博士が能力をいかし活躍できる多様な場を社会にひろげるために、公務員の大学院卒採用枠を新設し、学校の教員職や科学に関わる行政職、司書や学芸員などに博士を積極的に採用します。博士を派遣や期間社員で雇用する企業に対して正規職への採用を促すとともに、大企業に対して博士の採用枠の設定を求めるなど、社会的責任をはたさせます。

若手研究者の待遇改善をはかるために、大学や独法研究機関が、期限付きで研究者を雇用する場合に、テニュアトラック制(期限終了時の審査をへて正規職に就ける制度)をさらに充実させ、期限終了後の雇用先の確保を予め義務づける制度を確立します。そのために必要な経費は国が責任をもちます。ポスドクの賃金の引き上げ、社会保険加入の拡大をはかります。

 

 ―定額の研究費を国が支給する特別研究員制度を大幅に拡充します。とくに、博士課程院生のうち7.3%しか適用されていない現状を改善し、20%まで採用を増やします。大学院生に対する給付制奨学金を創設します。

大学非常勤講師で主な生計を立てている「専業非常勤講師」の処遇を抜本的に改善するため、専任教員との「同一労働同一賃金」の原則にもとづく賃金の引き上げ、社会保険への加入の拡大など、均等待遇の実現をはかります。また、一方的な雇い止めを禁止するなど安定した雇用を保障させます。

 

【立憲民主党】

 就労支援の際に、多様な専門を生かすことができるよう相談・生活・自立支援をさらに進めるとともに、雇用する側、特に中小企業に対する支援策を強化します。

 

 

れいわ新選組】

 高学歴の人材は国にとって貴重な財産です。そのような人たちが正当に評価されてこなかったこれまでのあり方に大きな問題があります。諸外国のように、博士課程の方には、社会保険を適用するようにしなければなりません。ポスドクでも安心して結婚できる、子供が持てる環境を作る必要があります。また、大学院で学んだ学歴が省庁の採用試験などで実際の年数よりも多く職歴としてカウントされるような制度が必要です。また、国の政策として、そのような人々を、国会議員の国会の政策スタッフとして、知見を活用し、国会議員の立法活動を促進します。

 

 

【自由民主党】

   現在、具体策を検討しています。残念ながら、現段階で具体策を記入できないのですが、可能な限り根本的な解決に結びつくように尽力します。

 

 

【幸福実現党】

 解雇規制の緩和を進めるなど、雇用の流動性を高める施策を講じるべきと考えます。

 

  

【公明党】

 引き続き、若手研究者のポスト拡充やポスドクへの経済支援の充実、ライフイベントの両立を図るための支援などを推進していきます。

 

 

問8)

 我が国で、研究不正が続発していることは、国際的にも問題視されつつあります。通常、研究不正は教授が下位の教員に、教員が学生に、協力を強要するハラスメントを伴うものであり、大学内の権威主義やハラスメント対応部局の実効性にも問題があると思われます。こういった状況を改善するために、どのような方策が好ましいとお考えでしょうか?

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党  れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1.  これまで通り各大学に任せる                   8.3
2.米研究公正局(ORI)のような政府機関、外部機関を設立する           80.6
3.その他   ○        11.1

 

問8-2)

 先の設問で3.を選択した場合は、具体策を以下にお書きください。

【日本共産党】

 不正の根絶をはかるために、科学者としての倫理規範の確立を促すとともに、不正の温床となっている業績至上主義とそれを助長する過度に競争的な政策をあらためます。大学・研究機関における外部資金の管理を厳格におこないます。

 

 研究不正の告発を受けた際に、大学・研究機関が調査する機能を充実させるための支援を強めます。

 

 ハラスメント対策については、これを禁止する法規定がないなど日本は諸外国と比べて極めて遅れており、大学・研究機関にとどまらない日本社会全体の課題です。

 

 日本共産党は、6月5日に発表した政策「個人の尊厳とジェンダー平等のために――差別や分断をなくし、誰もが自分らしく生きられる社会へ」のなかで、ハラスメントに苦しむ人をなくすために、〇被害の認定と被害者救済のために、労働行政の体制を確立・強化するとともに、独立した救済機関を設置する、〇学校やスポーツ団体、大学・研究所など、社会のあらゆる分野でハラスメントをなくすために、国としての実態調査と、それぞれの分野に対応した相談・支援体制をつくることなどを提案しています。→https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/-2019-metoowithyou.html

 

 大学・研究機関が、男女共同参画の促進やセクシャルハラスメント・アカデミックハラスメント・パワーハラスメントなどの人権侵害を防止する専門家を専任で配置することへの支援を強めます。

 

 

【国民民主党】

 教育・研究現場でのアカデミックハラスメントなどハラスメント対策を推進し、意識、慣行の見直しを促進します。

 

 

【立憲民主党】

 学問の自由を侵害することがないよう、ハラスメントを抑止する観点からも、効果的な方策を検討します。

 

【自由民主党】

 大学の自治を尊重し、基本的には大学が対応するべきです。しかしながら、大学の自治が人事の権威主義を生み、それが研究不正の温床となっている側面があるので、「これまで通り」は許されないと考えています。大学の自治を尊重しつつ、研究不正を防止する施策を検討していきます。

 

【公明党】

 不正研究を防止するため、政府が策定している研究不正への対応に関するガイドラインを大学等へ周知するなど、引き続き、研究不正を未然に防ぐための対策を推進します。

問9)

 現在、大学教員も多忙であり、研究時間が十分に確保できていないという報道がありました。また、授業の多くが非常勤講師に担われているという事情もあります。この点を踏まえて、大学教職員数について、最も重要だと思う対策を一つお選びください。

  社会民主党 日本共産党 国民民主党 立憲民主党 れいわ新選組 自由民主党 幸福実現党 公明党 日本維新の会 一般回答(%)
1.  常勤教員の定員を復旧・拡充する ○          61.1
2.競争的資金により、特任教員を雇えるように措置する                 2.8
3.リサーチ・アドミニストレーター(URA)や知財・コミュニケーションの専門家など高度人材を研究支援職に充てられるよう措置する             30.6
4.合理化やICT, AIの利用などにより、現状維持、ないし人員削減を目指す                   5.6

 

問8-2)の一般回答

[問8-2](高学歴の就職難問題について)に関して、ウェブフォームからご回答いただいた一般の方のご意見をご紹介します。

 

民間企業とスキルのあるポスドクとのマッチングを行う。(人材紹介会社の活用。)
統計問題は代表的な事例であるが、官民を通じて研究人材を活用するべき場はあるにも関わらず、実際には配置できていない。現状改善のひとつの有力な方策として考えていただきたい。
中央省庁の官僚が忙しすぎる、研究者が雑用に追われる、といった問題を考えると、実際には人が足りていないにも関わらず人を減らされてかえって効率を損なっているといえるため、こうした職場で雇用してワークシェアリングすることで状況を改善する。
就職支援といった受け入れる企業に依存する事ではなく、まず彼らの話を聞くべきではないでしょうか。
民間企業で修士・博士を必ず一定数採用するよう枠を制定する、あるいは奨励金を出すことで修士・博士の就職先を増やす。公務員であっても例えば地球温暖化対策や資源問題、異常気象などといったことに対応するために修士・博士の採用枠を増やす。
教員免許を持っていなくとも博士号等を持っていれば高校教員等の職に就けるようにする
(ぼんやりとしたアイデアしか持っていないが...) 次設問の研究公正局の実現や、(持論だが)科研費・特別研究員よりも基盤よりな資金(完全にフリーではなくミニマムな審査は必要だと考えている)を立ち上げる際には、学術的バックグラウンドを持つ人材の大きな需要が生まれると考えられる。そういったものである程度吸収できないだろうか。
公的シンクタンク、研究調査教育機関の拡充。ただし、個々の狭義の専門性を過度に考慮することなく、各機関が必要と考える課題に投入すること。そのためには一定の再教育が必要であり、かつ職業訓練としても作用すると良い。
URA等研究関連高等職の設置推進、民間企業等への転職を進めるための企業側への広報・売り込みの促進など
研究職の求人情報を国内外から集め、閲覧できるようにする
国公立大に新規ポストを増やすと共に、学生への教育の充実も計る。
当該世代の博士号取得者を専門職で雇用した事業者に対する減税または補助金の交付制度により、雇用を促進し、実際に価値を仕事の現場で感じてもらうことで不当な扱いを解消する。